男性が離婚協議を有利に進めるためには

「法律相談に行ったら『離婚するときは男性が不利』『早く負けを諦めて離婚した方が良い』と言われました」といった声を耳にすることが良くあります。実際にネットを見ても、離婚は男性が不利と書かれた記事も見かけます。

ですが、本当に為す術なく女性の言うなりに離婚を進めなければならないのでしょうか。

確かに男性は、女性よりも考えるべきポイントは多く、その結果、諦めるべきところも出てくるかもしれません。ですが、主張すべき点はしっかりと主張をすることで、「一方的な離婚」「言われっぱなしの離婚」を防ぐことができるのです。

 

(1)忘れてはいけない婚姻費用の落とし穴

男性が離婚に向けて活動するにあたり、最も気を付けなければならないのが婚姻費用です。

 

婚姻費用とは、夫婦と子供が通常の生活を維持するために必要な「生活費」を指し、夫婦の収入に応じて分担する義務があります。

婚姻費用は別居した後であっても離婚をするまでの間は支払わなければなりません。

特に、妻が専業主婦だったり、パート等収入が少ない場合や、子供が私学に行っている場合など予想以上の婚姻費用を負担しなければならない場合もあります。

逆に妻側からすれば、離婚をしてしまうと婚姻費用が受け取れなくなりますので、離婚協議が長引いても問題ないと考える傾向にあります。

むしろ敢えて離婚協議を長引かせる戦略を取ってくる女性もいます。

また、女性は今までの生活を変えなくない一心で、相場を超える高額な婚姻費用を求めてくることもあります。

 

男性側は、まずは婚姻費用の出費を抑えることを考えなければなりません。

請求された金額が相場の範囲内であるかどうか、相場以下の金額に抑えるような事情があるかどうかの検討のほか、先に離婚を決めることも検討してみましょう。

親権は離婚時に決めなければ離婚ができませんが、それ以外の財産分与・面会交流・養育費といった条件は離婚をした後でも、話し合いをすることが出来ます。

 

(2)話し合いの進め方

(1)妻の話に耳を傾けてみましょう

離婚を決意することはかなりのエネルギーが必要です。

そのため、一度離婚を強く決意すると、なかなか「もう一度やり直してみよう」とは思えないことも多いのです。

「離婚なんて考えてもない」という男性の場合は、妻の夫婦関係・家族関係に対する不安や不満に真摯に耳を傾け、丁寧に問題を解決することで、妻に離婚を決意させてしまわないよう、心がけましょう。

「離婚は仕方がない」と考えている夫婦はどうでしょうか。

妻もこれまでの夫婦・家族関係に不満が溜まっている状況ですので、妻の話を無視して一方的に話を進めてしまえば、妻も意地になって一切譲歩しないこともあり得ます。

 

離婚協議とは、夫婦・家族についての最後の話し合いですから、妻の意見にも耳を傾けることが、逆に妻からの譲歩を引き出すきっかけにもなりますので、しっかりと妻と向き合って話をすすめてみましょう。

 

(2)協議が難航した場合

夫婦での話し合いがどうしても困難な場合もあります。

その結果、長期間にわたり婚姻費用を支払い続けなければならない状況に陥るかもしれません。

妻側に代理人が入っている場合には特に婚姻費用をもらい続けるメリットが説明され、話し合いがのんびりと進められてしまうこともあります。

このような場合には、男性から離婚調停や離婚裁判を起こすことも検討しましょう。夫婦の間に調整役の第三者が入ることで、話し合いがスムースに進むこともあります。

 

なお、調停は平日に行われますので仕事を休まなければなりませんし、また、次の調停の日までに考えなければならない宿題が出されたり、資料を提出しなければならかったりと仕事の合間にする作業が増えることがあります。

このような場合でも、弁護士に依頼することで、代わりに調停や裁判に出頭してもらったり、宿題を適切に処理することが出来ます。

 

(3)養育費

女性が親権者になった場合には、男性は女性側に対して毎月一定額の養育費を支払わなければなりません。

子供のためにはできる限りのことをしてあげたいと考えている男性が殆どかと思いますが、その一方で、養育費が多額になれば、自分の生活が苦しくなる可能性もあります。

 

もしくは、毎月ではなく一括でまとまった養育費を支払って終わりにしたいと考える男性もいるかもしれません。

あるいは、ちゃんと子供のために養育費が使われているか、把握しておきたいと考える男性もいらっしゃることでしょう。

 

養育費をいくら支払うのか、その支払い方法をどうするのか、妻の口座に振り込むのか塾や学校に直接振り込むのかといった点を決めて、合意書を作成することで、その後の紛争を予防することが出来ます。

 

(4)財産分与

財産分与は、夫婦が婚姻生活を営む間に築いた財産を分ける手続きで、

原則は夫婦がそれぞれ1/2ずつ財産をもらい受けることになります。

 

①分与の割合

夫婦の一方が特殊な技能を有していたり、会社を経営することで財産を多く築いたときなど、夫婦の財産を1/2よりも多めにもらい受けることが出来る場合があります。

 

②特有財産

財産分与の対象は「夫婦で築き上げた財産」ですので、例えば自分の両親から贈与された財産や相続財産などについては、財産分与の対象から原則は外すことが出来ます。

また、「夫婦で築き上げた財産」であれば、財産の名義は問われませんので、妻名義の財産はもちろん、子供の名義で貯めてきた預金等についても、財産分与の対象になることがあります。

 

③住宅ローン

婚姻中に夫名義でローンを組んで住宅を購入した場合、その家を処分するのかどうか、住宅ローンをだれが負担するのかといった難しい問題が発生します。

夫婦で組んだローンであっても、あくまでも銀行との関係ではローンの主債務者は夫となります

ですので、ローンを名義変更せずに離婚後は妻が支払いを続けることに決めても、万が一妻の支払いが滞れば、銀行は夫に支払いを求めてくるのです。

 

売却を考えた場合であっても、中古住宅はオーバーローン(自宅を売却してもローンが完済出来ない状態)になっていることが多いため、残ってしまった債務をだれが幾ら負担するかを決めなければなりません。

妻に残債務の半額の負担を求めるというのも、ひとつの手かもしれません。

 

(5)親権

親権は、子どもの年齢が小さければ小さいほど母である女性が有利と言われており、残念ながら実務でも女性に親権が認められることが多いです。

 

ただ、子供が大きくなってくると、子どもの意見が重視されるようになっていきますし、これまで子どもと良好な関係を築いてきた場合には、子どもが父である男性と一緒に生活することを希望し、かつ、子どもを実際に養育することが出来る環境が整っていると判断され、親権を取れることもあります。

 

男性は平日夜遅くまで仕事に出ていることが多く、「養育することが出来る環境」を整えることは難しいかもしれません。

ですが、どうしても親権を希望される場合には、自分が仕事している間も両親に手伝ってもらえるよう両親宅の近くに住んだり、残業をしなくても良い部署に異動するなどして、しっかり面倒をみれる環境を整備することが不可欠です。

親権をとることがどうしても難しい場合には、親権を諦めて子どもと会う機会(面会交流)をしっかり確保するよう交渉することも重要となります。

 

(6)面会交流

面会交流とは、子どもと一緒に住んでいない親が子どもと交流を持つことを言います。

面会交流の決め方は「月に1回程度交流する」とざっくり決める場合と、「毎月第〇日曜日の〇時から〇時まで、△△で子どもを引き渡す」等具体的に決める場合があります。

 

また、子どもと直接会って交流する方法のほか、手紙やメール、電話といった手段を用いて間接的に交流する方法もあります。さらには、長期休暇等の際に、宿泊を伴う面会を実施する場合もあります。

面会交流の方法や回数等を決めたら、面会交流をしっかり実施してもらえるように、合意書を作成して取り決めの内容を残しておくようにしましょう。

 

また、子どもを監護する母が父と子の面会を拒否して、会わせてくれないケースもあります。このような場合には、調停を起こして裁判所で話し合いの機会を設けて面会の機会を確保してもらう必要があります。

 

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