発達障害は離婚原因として認められる?離婚の進め方を弁護士が解説!
- 夫(妻)は発達障害ではないか?
- ADHDの相手と離婚するにはどうしたら良いのか?
- 相手がADHDの場合、離婚原因として認められる?
- ADHDの相手と離婚する場合不利になりやすい?
結婚して一緒に暮らしていると、配偶者が「ADHD(発達障害の1種)ではないか?」と思われるケースがあります。実際相手がADHDの場合、婚姻生活に困難が発生するケースも多々あります。
目次
1.ADHDとは
そもそもADHDとは何なのでしょうか?
これは「注意欠陥多動性障害」という1種の発達障害です。発達障害とは、生まれ持った特徴が一般の人とは異なることによる障害で、症状や特徴にはさまざまなものがあります。
ADHDは、その中でも「不注意」と「多動性」を特徴とします。
1-1.不注意
自分の行動や周囲に注意を払うのが苦手です。
たとえばお皿をしょっちゅう割ったり水を出しっぱなし、電気をつけっぱなしにしたり鍵を閉め忘れたり、何度も同じ間違いを繰り返したりします。
1-2.多動性
落ち着きがなく貧乏ゆすりをし続けたり我慢が苦手で順番を待てなかったり衝動的な行動をとったりします。
借金や浪費をしてしまう方もよくおられます。
軽度であれば「個性」の範囲内で済むADHDですが、重度になってくると一緒に住む家族は苦しくなるケースが多数あります。
自己中心的な言動が続いたり人の言うことをまったく聞いてくれなかったり、子どもが気に入らないことをすると暴力を振るってしまったり反対にネグレクトしたりする可能性もあります。
2.ADHDだけでは法定離婚理由にならない
相手がADHDの場合、それを理由に離婚できるのでしょうか?
民法は、訴訟によって離婚できる理由を限定的に定めていますが、その中にADHDは入っていません。
「婚姻生活を継続し難い重大な事由」という離婚原因もありますが、「夫(妻)がADHD」というだけではこれに該当しません。
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3.ADHDで離婚できる場合
ただしADHDの相手と離婚できないという意味ではありません。以下のようなケースではADHDの相手とも離婚できます。
3-1.相手が離婚に合意した
相手が離婚に合意したら、協議離婚または調停離婚できます。
3-2.相手も夫婦関係修復を望んでいない
相手も夫婦関係の修復を積極的に望んでいないなら、裁判でも離婚を認められる可能性があります。
3-3.相手から暴力を振るわれている
ADHDの相手が感情的になってよく暴力を振るっているようであれば訴訟で離婚できる可能性が高くなります。
3-4.相手が不倫した
相手が別の女性(男性)と不貞関係となったら法律上の離婚原因が認められます。
3-5.相手が働かない、生活費を払ってくれない
ADHDの相手が浪費や借金を繰り返して家計を破綻させた場合、働かない場合、収入があっても生活費を入れてくれない場合などには裁判でも離婚が認められる可能性が高くなります。
4.ADHDの相手と離婚する方法
ADHDの相手と離婚したいなら、まずは相手としっかり話し合いましょう。お互いが納得すれば協議離婚できます。
離婚に応じてくれず、共同生活が困難であればいったん別居することをお勧めします。
別居とあわせてすべきこと
別居と同時に婚姻費用の分担を請求すれば、離婚が成立するまで相手に生活費を払わせることが可能となり、相手も離婚を真剣に考えるようになるものです。
同時に離婚調停の申立も行い、調停による離婚を目指すと良いでしょう。
調停が不成立になったとき、相手から暴力を振るわれているケースなどでは訴訟によって離婚を認めてもらうことも可能です。
5. 発達障害を理由に料請求はできる?
発達障害を理由に慰謝料を請求することはできません。しかし、そのことがきっかけとなって、夫婦間のコミュニケーションに問題が生じ、暴言やモラハラに近い言動が起きた場合など、複合的な要素として判断される可能性もありますので、弁護士にご相談下さい。
6.ADHDのパートナーと離婚するために弁護士ができること
ADHDの配偶者との離婚に悩まれている方の共通点として、ずっと我慢してきたということがあります。
これは配偶者がアスペルガー症候群の疑いがある場合などでも同様の傾向があります。
なぜ、我慢してきたのかというと、ADHDやアスペルガー症候群は、近年知られてきた病気で、従来は性格の問題だと思われていたため、なかなか周囲に相談することもできず、相談しても理解が得られないという傾向があったためです。モラハラの悩みにも近いものかもしれません。
自分が我慢すべきだ、我慢していれば大丈夫だというものです。特にADHD、アスペルガー症候群は、病気なのだから我慢しないといけないと考えている人が多いのではないでしょうか。
しかし、我慢を重ねてきた結果、自らが抑うつ状態になるなど、精神疾患になるまで症状が悪化する人もいます。
そうなる前に弁護士に相談してください。
弁護士に相談することにより、ご自身の今後とるべき途のアドバイスをすることができます。また、ADHDの配偶者とは話をすること自体が困難です。弁護士に依頼することにより、相手と直接話をすることを避けることができ、精神的負担を取り除くことができます。
当事務所では、配偶者がADHD、アスペルガー症候群の離婚事例を多数取り扱っており、その特徴を理解し、相談することができます。
精神的に追い詰められる前にご相談ください。