介護を理由に離婚することはできるのか?

1 介護と離婚という問題

高齢化社会の中で義理の両親の介護が問題となるケースがあります。

介護はして当然という考えがあるが故に、誰からも感謝されず、介護に疲れ、「離婚」という言葉が頭をよぎる、という相談が増えています。

介護というのは家族の問題であり、夫婦の問題でもあります。介護が離婚につながるということは実は非常に多いと言っていいでしょう。

そもそも、介護を理由に離婚をすることはできるのでしょうか?

2 介護と離婚原因

法律で離婚には一定の事由が必要とされており、以下の5つが定められています。

1.不貞行為

2.悪意の遺棄

3.3年以上の生死不明

4.回復の見込みがない強度の精神病

5.その他の婚姻を継続しがたい重大な事由

介護を理由とする離婚が認められるかは「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかが問題となります。

婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するかは、婚姻関係が「破綻」していると言えるかがポイントになります。

「破綻」とは、簡単に言うと法的にみて夫婦関係が修復不可能と客観的に認められる状態のことをいいます。

「破綻」と言えなければ、裁判で離婚が認められることはありません。

3 介護が原因で離婚を考える理由

介護が原因で離婚を考える理由はどのようなものが多いでしょうか?

①介護はして当然という考え方がある

②介護を一人でほとんどしなければならない

③義理の両親との関係がよくない

④介護のために自分の家庭のことができなくなる

相談者の悩みは大きく分けるとこの4つの理由が多く、共通するのは、夫の無理解でしょう。

介護は当然という考えがあると、介護をしても感謝されることはなく、しかも他の協力はなく、一人で大変な介護に当たっているのに、当然だと思われてしまう、義理の両親との関係がよくなくても、頑張って介護しているのに不満を伝えればわがままだと言われてしまう。そして、家庭のことが疎かになってしまえばそのことも責められる、という悪循環に陥ります。

ここに夫のモラハラ発言や、妻が介護しているのに夫が飲みに出かけるなどといったことが重なり、一気に気持ちが離婚に傾いてしまうのです。

4 まずはどうすべきか?

まず、離婚に進むのか、それともなんとかやり直していきたいのかを考えてみましょう。

心身がストレスで壊れてしまう前に進むべき道を考えなければなりません。

離婚に踏み切れないと考えたときには、必ず誰かに相談してください。そのままの状態
を続ければ状況はどんどん悪化します。

そして、具体的に何が自分にとって問題となっているのかを把握し、夫と話し合い、理
解をしてもらった上で、介護の協力を夫や親族から得るようにし、デイケアや施設の入所
なども検討してください。

それでも、状況が改善しない場合は、離婚に向けて検討する必要があります。

5 介護と離婚

法律上の離婚原因に該当するには、「破綻」といえる必要があることは先ほど述べまし
たが、いよいよ離婚をするということになった場合、この「破綻」といえるかが問題にな
ります。

ここで重要なのは、客観的に破綻状態にあると言えるかです。

客観的にとはどういうことかというと、頭の中で「離婚したい」と思っていただけでは主観的に考えているだけになります。

不貞行為や暴力などは客観的に明らかな行為があります。そうすると、具体的事情がどれだけあるかです。先ほど、修復に向けた話し合いを夫と話し合うことを勧めましたが、ここで夫の理解が得られない、何とかしようとしたが結局うまくいかないままになった、ということは具体的事情になるでしょう。

そこでどのような発言、行為を夫がしたかも重要です。

また、どのような介護を自分が負ってきたかの記録も重要です。

そして、話し合いが決裂した結果、別居も視野に入れる必要があります。別居は客観的
に破綻を導く重要な要素になります。

このような具体的事情の積み重ねが「破綻」といえるかの重要なポイントになります。

6 離婚に向けた準備

(1)離婚を決めた場合、離婚後の生活のことを考えておく必要があります。

離婚後の生活が不安な方に向けた記事を参考にしてください。
https://www.rikon-irislaw.com/page-935/

(2)別居について

離婚の前に別居を検討する場合には、きちんとした準備をする必要があります。
別居について詳細な記事を参考にしてください。
https://www.rikon-irislaw.com/page-466/

7 最後に

介護で悩んでいる方は、必ず誰かに相談してください。

辛い状況にありながらも、両親の介護という問題を離婚に結びつけることに悩み、結果心身ともに壊れてしまう方が多くいます。

そうなる前にまずは相談し、自分の進むべき道を考え、そのためにどのような行動を取ればいいかを具体的に考えていきましょう。

弁護士法人アイリスでは、これまで多くの離婚を取り扱い、介護と離婚に関する事例も多数関わってきました。必ず皆様のお力になれます。