【弁護士が解説】パパ活は不倫?慰謝料請求される場合とされない場合

1.パパ活は不倫?~パパ活で不倫が成立する条件

近年、テレビ等でも「パパ活」という言葉をよく聞くようになりました。パパ活とは、若い女性が年上の男性と食事やデート、時に性交渉を行いその対価としてお金を受け取ることを指します。

パパ活を行う女性は「少しの時間男性と一緒に過ごすだけでお小遣いを貰える」と安易に考える傾向にありますが、男性も「恋愛感情がないから」「一時的な関係だから」「お金を渡しているから」と軽い気持ちで女性と会うことが多いようです。

それでは、パパ活は「不倫」と判断されて慰謝料が発生するのでしょうか。不倫とは、簡単に言えば肉体関係を持つことを意味します。ですから、既婚者の男性が若い女性と一緒に食事をするだけ、どこかに出かけるだけでは「不倫」とは言えませんし、不倫の慰謝料も発生しないでしょう。ですが、結婚しているにも関わらず異性と性交渉を行えば、例えお金が介在していたとしても、恋愛感情がなくても、一日だけの付合いだったとしても基本的には「不倫」に該当して慰謝料が発生します。

2.パパ活で不倫慰謝料が請求されない場合

性交渉を行っても不倫慰謝料が発生しない・請求されない場合もあります。

(1)相手が既婚者と知らなかった場合

慰謝料を支払わなければならないのは、相手が既婚者であり、そのことを知っていた(故意)、または、知りえる状況であった(過失)場合です。パパ活の場合にはSNSやアプリを通じて相手のことを殆ど知らないまま一緒に過ごすことが多いため、故意も過失もないと判断される可能性が高いのですが、例えば、男性から結婚していると告げられていたり、結婚指輪をはめていた場合などには、故意や過失が認められることもあります。

(2)相手の配偶者が既に慰謝料を受け取っている場合

相手の配偶者は不貞行為を行った夫に対しても慰謝料を請求することができます。ですから、夫から十分な慰謝料を既に受け取っている場合には、それ以上に慰謝料を請求することが出来ません。

3.パパ活の不倫慰謝料の相場

不貞行為の慰謝料は、不倫の程度や相手の家庭にどれほどの影響を及ぼしたのかによって金額が変動します。ですから、不倫によって離婚にまで至ってしまった場合には高額となり、不倫をしても離婚も別居もしなかった場合には低額となりますし、不倫の関係が長期間に及んでいるのは1回だけなのか、頻度はどの程度だったのか、家庭は円満だったのか、子供がいるのかといった事情も相場に影響を及ぼします。
離婚も別居もしなかった場合には数十万円から100万円程度、離婚を前提とした別居をしたり、離婚まで至ってしまった場合には150万円~300万円程度が相場と言えます。

4.パパ活で不倫慰謝料が請求された時の対処法

パパ活をしたことが判明する理由はさまざまですが、自宅に妻や代理人から内容証明が届いたり、場合によっては突然妻から電話が架かってくるようなこともあります。もしも慰謝料を請求されたら焦るのも当然です。ですが、焦りは禁物です。まずは、落ち着いて対処法を考えましょう。

(1)肉体関係があったか

肉体関係がない場合には基本的には不倫慰謝料を支払う必要はありませんので、相手と肉体関係を持ったかどうかが出発点となります。

(2)既婚者と知っていたか

肉体関係を持った場合には、「相手男性が既婚者であると知っていたか、または知りえる状況であったか」が慰謝料の支払い義務があるかないかを判断する重要なポイントになります。
最近ではLINEやメールなどのやりとりも証拠として提出されることが多くなりました。相手とのやり取りの中で既婚者であることを聞いていないかどうかも併せて確認をしましょう。

(3)証拠があるかどうか

慰謝料を請求するには、肉体関係があることを示す証拠が必要となります。ホテルに出入りする写真・LINEでの体の関係を伺わせるやりとりは決定的な証拠になりえます。どのような証拠を持たれているのかをできるだけ把握するようにしましょう。
そのうえで、慰謝料の支払いは避けられないと判断された場合には、請求された金額が相応なものであるか、支払う金額や支払い方法(分割か一括化)について話し合いが出来そうかを検討しましょう。

(4)弁護士への相談・依頼

相場はわかっても、実際にどの程度の金額が妥当か判断がつかないこともあるでしょう。また、相手の配偶者はパパ活の相手に強い怒りを感じています。いくら冷静に話そうとしても、全く話し合いに応じてくれないこともあるでしょう。裁判になったらどうなるのか不安も持たれることかと思います。
弁護士は法律のプロであり、交渉のプロでもあります。なかなか友達に相談することができない場合でも、守秘義務を負った弁護士に話をすることで、悩みをお一人で抱え込まず気持ちも随分も楽になることでしょう。慰謝料の請求を受けたら、早めに弁護士へ相談・ご依頼されることも検討ください。

5.お金がなければ支払わなくていい?

「お金がない」という理由では慰謝料の支払いを逃れることは出来ません。また、「届いた請求を無視していればいい」わけでもありません。慰謝料を支払わなかった・支払うことが出来なかった場合には、預金口座が差し押さえられたり、給与が差し押さえられることもあります。

給与の差し押さえは、裁判所から直接職場に対して「給与を差し押さえたので、あなたにその分の給料を支払わないように」との指示が出されます。あなたが慰謝料の請求をされていることや支払いをしていないこと等を会社が知ってしまうことになります。その結果、場合によっては会社に居づらくなることも考えられます。

6.まとめ~パパ活で不倫慰謝料を請求されないために

お小遣い稼ぎのつもりで気軽に始めたパパ活で、何百万円もの慰謝料の支払いを求められるのでは、元も子もありません。慰謝料の請求をされないよう、既婚者であるかを事前にしっかり確認することが必要です。また、相手が独身と嘘をついている可能性もありますし、何度かあって性交渉を重ねた後に既婚者であることが判明してもそのまま関係を続けることもあるでしょう。
パパ活をする場合には、食事やデートだけに留めることこそが最もリスクを回避する方法といえるでしょう。

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